
S様(30代女性)
住宅購入、ライフプラン検討
住宅購入を中心としたご相談です。
直近で住宅購入を検討されており、このまま購入しても問題ないか確認したいとのことでした。お子様は0歳とまだ小さく、2人目の子供ができても大丈夫なのかという部分も気にされています。

ご依頼の経緯
ご相談者のSさんは静岡県浜松市で暮らしており、0歳のお子様を含め3人家族です。
近々住宅の購入を検討されています。ご両親の実家との距離間や勤務先へのアクセスなど、今後奥様が復職することも考えると好立地であるため、可能であれば購入をしたいようです。しかし、現在の収入で将来的に問題がないのか、また今後子供が増えた場合などはその期間のお金にも不安を感じています。
ご相談の回答やFPからのメッセージ
第1感としてはややリスクが高いように感じました。実際に当初いただいていた情報からキャッシュフロー表を作成すると、子供の大学進学時に貯蓄残高がマイナスになる計算となってしまいました。
項目 | 金額(万円) |
---|---|
世帯収入(手取り) | 490 |
基本生活費 | 200 |
住居関連 | 84⇒130 ※右は購入後 |
教育関連 | 40~400 ※子の年齢により変動 |
車両関連 | 50 |
保険関連 | 65 |
資産運用 | 12 |
その他支出 | 25~300 ※一時的な支出含む |

しかし、住宅の購入は多くの場合人生に1度しかありません。特に好立地の土地というのは今後出てこないかもしれないので、購入が可能な方法を検討していきました。
直近よりも子供が大学進学~定年退職から数年間のほうがリスクが高い
今回のご相談者様だけでなく多くのご家庭で当てはまりますが、貯蓄の減少が大きくなりやすいのは子供が大学に入るときと、定年退職から年金受給までの期間です。(60歳で退職し年金受給を65歳とした場合)
大学は教育費の中でも一番大きなお金がかかることが多くなります。具体的な計画がない場合、私は私立大学(文系)で家を出る想定で計画を立てます。金額を多めに見積もっておくほうがリスクが低くなるからです。
おおよそですが、以下の金額で試算しています。
【授業料】 1年目: 126万円 2年目~: 103万円
【仕送り等】 月8万円 ※初年度のみ50万円(敷金や準備)追加
1年目:272万円、2年目以降:200万円
収入によっては、子供の大学在学期間中ずっと年間収支がマイナスになる可能性もあります。例えば学費については奨学金等を検討するのもよいでしょう。また、子供の大学卒業くらいで60歳前後になることも多いため、ここで収入がなくなると、さらに貯蓄を取り崩すことになりかねません。後述しますが、できれば60歳以降も働くことをおすすめします。
借入3000万円、金利2.0%、35年ローンなら毎月の支払いは約10万円
今回のご相談者様は、借入は約3200万円で金利2.0%、借入期間は35年のフラット35を検討しています。この場合、毎月の返済金額は10万円を少し超えます。これに固定資産税も追加になるのでおよそ130~140万円ほどが年間の住居費となり、現在よりも増える計算となりました。
最も有効な対策は収入を増やすこと
対応案は大きく言うと①収入を増やす②支出を減らすのいずれかになりますが、今回のご相談者様の場合はまず①を検討するのが良いと考えています。
- 当初第3号被保険者で働くことを考えていたが、フルタイムでの復職を検討
- 旦那様は60歳以降もできるだけ働く
- 2人目の子供をどうするか
- 建物価格を抑えることができるか
- 現在の支出を削れる部分はあるか。
勤労収入は将来のリスクを減らすのに確実性が高い方法です。高年収を求めて転職するといったことは難しい面がありますが、奥様が現在働いており、復職可能ということがあればよく検討するのが良いと思います。
同様に可能な限り長く働くこともおすすめです。現在は高齢者の雇用義務期間が延びてきており、この傾向は今後も続くと考えられます。働きやすい職場なのであれば、年収がいくらか下がったとしても働くほうがよいでしょう。
支出は定期的な見直しを
今回のご相談では旅行や電化製品の購入といった金額が比較的大きい一時的な支出はあまり計画されていませんでした。実際にはこのような支出は結構な頻度で発生しますし、金額も大きくなりますのでご自身で定期的にキャッシュフロー表を見直していただくのが良いと思います。また、基本生活費や教育費なども家族構成の変化や進路決定などの節目で見直していただくのが良いでしょう。
お客様の感想

<Sさんの感想>
最終的には答えが出なかったですが、考え方をたくさん教えてもらって今後に活かせそうです。
正直買うと大変な家計になるのではと心配していましたが、家計の意識が変わり、なんとかしようという意欲にも繋がりました。



ご両親の育児協力なども含めて好条件の住宅とのことでしたので、そちらを優先して後押しさせてもらいました。
ただし、絶対安全ということではありません。家計についての意識が変わったのは良いことだと思います。定期的にライフプランを見直すようにして下さい。